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花火を立てる

この夏は、花火について知ろうと決めていた。きっかけは、俵万智さんの著書『生きる言葉』だ。舞台『正三角関係』の稽古場を見学した際のエピソードに触れて、こう綴られている。 殺人をかくも丁寧に裁きつつ戦争をする国家とは何俵さんがこの作品から受け取...
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ケンさん

頻繁に使用する駅の地下構内、いつも同じ柱に寄りかかり座る男性を見かけるようになった。どう見ても1人なのだが、床には向かい合うように2本の飲み物が置かれている。まるで、親しい友人とちゃぶ台を挟んで談笑しているかのように、彼は顔をくしゃくしゃに...
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オランダ人の食生活とスティーブ・ジョブスの服

「なんでオランダに食文化ってないんだろうね」オランダ人のシルバが言う。すると、オランダ人のダーンが、「オランダに食文化がないってどう言うこと?あるじゃん、ハー リン(ニシン)の尻尾を手で掴んで食べたり、年越し前にオリーボーレンを食べたり」「...
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南アフリカ旅行とアパルトヘイトの名残

2026年、アムステルダム発、ケープタウン着の飛行機ゲート。あたりを見渡すと、白人ばかりで、黒人がほとんどいない。何百席もある大型の飛行機で見かけた黒人は、二人だけ。南アフリカは、9割が黒人の国なのに、である。たとえ香港発だとしても、オラン...
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視線の先にあるもの――映画『Michael/マイケル』を観て

映画『Michael/マイケル』を観た後、新宿駅前の電光掲示板を見て足が止まった。頭に残っていたのは、マイケル・ジャクソンの視線。彼の創り出した世界は「ただのエンターテイナー」の次元をはるかに超えていた。
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【ネイチャーエッセイ】ウミネコの集う島

青森県でも6月にしては肌寒いこの日、ウインドブレーカーを着込んで八戸に向かった。終日の雨予報により山歩きの予定を変更し、地域密着型の水族館へ行くことにしたのだ。海岸線を車で走っていると、視界の奥に神社が現れた。上空を何やら白い群れが飛び交っ...
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6月8日(月)、とある法廷で。

傍聴人入口から法廷に入ると、弁護人による最終弁論の最中だった。  短く刈りそろえられた白髪頭。サイズがあっておらず、だぶついた黒いジャージの上下。2人の法廷警備員に付き添われた被告は、車いすに座り、握りしめた両手を頬に押し当て、時折うなずい...
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【ショートショート】小さな王様

あるところに、小さな王様がいました。小さな王様は、とても怒りっぽいことで有名でした。背丈は人々の腕にすっぽりおさまるくらい小さいのに、人々の5倍も10倍も、いえ、それ以上にいつも怒っていました。 王様が怒る時は、顔を真っ赤にして怒ります。な...
小説

【サンプル投稿】猫町 萩原朔太郎

散文詩風な小説萩原朔太郎蠅はえを叩たたきつぶしたところで、蠅の「物そのもの」は死にはしない。単に蠅の現象をつぶしたばかりだ。――ショウペンハウエル。1 旅への誘いざないが、次第に私の空想ロマンから消えて行った。昔はただそれの表象、汽車や、汽...